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2週間仕事で沖縄に行くことになり、事前に荷物をまとめて機材を送ることになった。現地入りは飛行機で、荷物は事前にホテルに送付した宅配便で受け取る段取りだ。90Lのスーツケースの中にはペツルのヘッドライトとマキタのペンドライバーが含まれていた。
「リチウムイオン電池は飛行機に持ち込めないんだっけ?」と気にはなったが、調べた結果「預け入れNGで機内持ち込みならOK」という情報を見つけた。マキタのバッテリーは取り外して自分で機内に持ち込むことにした。これで問題ないはずだ、と思っていた。
そもそも何が起きたのか(体験談)
仕事で那覇に機材を宅配便で送ったときのこと
イベントの仕事で那覇に入ることになり、現地で使う機材をスーツケースにまとめて宅配便で先送りした。出発の数日前に集荷してもらい、あとは現地で受け取るだけ、という手はずだった。
運送会社から突然の連絡「このままでは希望日に届きません」
ところが翌日、運送会社から電話が入った。「お荷物にリチウムイオン電池に関わる機器が含まれており、このままでは航空輸送ができません。希望日までにお届けするには荷物から取り出していただく必要があります」とのこと。
寝耳に水だった。バッテリーはちゃんと抜いて手元に持っていたのに、なぜ?
バッテリーは抜いて持ち込んでいたのに、なぜ?
運送会社の説明によると、問題になったのはペツルのヘッドライトとマキタのペンドライバー本体だった。
ペツルのヘッドライトは内蔵型バッテリーで取り外しができない。つまりバッテリーと本体が一体化しているため、機器ごと航空輸送NGになる。
マキタのペンドライバーはバッテリーを取り外していたにもかかわらずNGだった。「バッテリーを抜いた本体なら送れるだろう」という思い込みが完全に間違っていたのだ。
それ以外に充電式のミニドライバーも沖縄へ送るスーツケースに入れて送ることができなかった
結果:荷物は営業所に戻り、後日自分で引き取りに
該当機材を取り出してもらい、スーツケースは希望日に届けてもらうことができた。しかし取り出された機材は営業所に戻ってしまい、後日自分で引き取りに行く必要が生じた。
現地には機材が揃わない状態で入ることになり、仕事への影響も出てしまった。「ちゃんと調べていれば」と悔やんだ出来事だった。
なぜNGだったのか?リチウムイオン電池機器の輸送ルールを調べた
「バッテリーを抜けば送れる」は間違いだった
今回の件でまず衝撃だったのは、「バッテリーさえ抜けば本体は送れる」という思い込みが完全に誤りだったということだ。
調べてみると、航空輸送においてリチウムイオン電池に関するルールは「電池単体」だけでなく「電池を内蔵した機器」にも厳しく適用されることがわかった。国際航空運送協会(IATA)のガイドラインや各航空会社・運送会社の規定では、リチウムイオン電池を内蔵した機器は、たとえ電源がオフになっていても、貨物便や宅配便の航空輸送に出す際には制限の対象になる場合がある。
「電池を抜けばただの工具や照明器具でしょ」と思いたくなる気持ちはよくわかる。しかし運送会社の基準では、リチウムイオン電池と一体化した設計の機器——つまりバッテリー内蔵型の製品——は、たとえバッテリーが物理的に存在しなくても、機器の種別として管理されることがある。
リチウムイオン電池内蔵機器は本体だけでも航空輸送NG
今回NGになったのは以下の2点だった。
ペツルのヘッドライトは充電式で、バッテリーが本体に内蔵されているタイプだ。バッテリーを取り外すことができないため、機器ごと航空輸送の制限対象になった。
マキタの充電式ペンインパクトドライバー(TD022DSHXB)は、7.2V・1.5AhのリチウムイオンバッテリーBL0715が着脱式になっている。バッテリーは自分で機内に持ち込んでいたにもかかわらず、本体だけでもNGとなった。運送会社の判断では、リチウムイオン電池で動作する電動工具の本体は、たとえ電池が抜かれていても輸送制限の対象になり得るということだった。
ペツルのヘッドライトとマキタの電動工具が該当した理由
これらの製品が対象になった背景には、リチウムイオン電池そのものの危険性がある。リチウムイオン電池は過充電・衝撃・高温などの条件が重なると発火・爆発のリスクがある。航空機内での火災は地上と異なり対処が極めて難しいため、国際的なルールとして厳しく管理されているのだ。
電動工具やヘッドライトはその用途上、リチウムイオン電池と切り離せない製品として分類されており、「電池なし本体」であっても運送会社のシステム上でフラグが立つケースがある。
どんな機器が対象になるのか?
内蔵型(取り外し不可)バッテリー機器の扱い
バッテリーが本体と一体化していて取り外せないタイプの製品は、機器ごと航空輸送の制限対象になる可能性が高い。代表的なものとしては、充電式ヘッドライト・充電式ランタン・スマートフォン・タブレット・ノートパソコン・Bluetoothスピーカーなどが挙げられる。
これらを宅配便でスーツケースに入れて送ろうとする場合、航空輸送が絡む長距離便では制限対象になる可能性がある。特に本州から沖縄・北海道などへの輸送は航空便が使われることが多く、注意が必要だ。
取り外し可能バッテリー機器の本体の扱い
着脱式バッテリーの機器については、一般的にはバッテリーを取り外した本体は輸送できるとされるケースが多い。しかし今回の経験からわかったように、電動工具のような製品カテゴリでは本体だけでもNGになることがある。
運送会社や航空会社によって基準が異なる場合もあるため、事前に確認することが確実だ。「たぶん大丈夫だろう」という判断は禁物だと身をもって学んだ。
意外と知らない対象機器一覧
以下は航空輸送の際に注意が必要な機器の例だ。
| 機器の種類 | バッテリータイプ | 宅配便(航空便)での注意 |
|---|---|---|
| 充電式ヘッドライト | 内蔵型 | 機器ごとNG |
| 充電式電動工具 | 着脱式 | 本体もNGになる場合あり |
| モバイルバッテリー | 内蔵型 | 預け入れNG・機内持ち込みのみ |
| ノートPC | 内蔵型 | 機内持ち込み推奨 |
| カメラ本体(充電式) | 内蔵or着脱 | 要確認 |
| スマートフォン | 内蔵型 | 機内持ち込み推奨 |
2026年4月24日より、飛行機内(国内・国際)へのモバイルバッテリー持ち込み・使用ルールが変更され、1人2個まで(160Wh以下)に制限され、機内での充電・使用は全面的に禁止されました。
正しい送り方・持ち込み方まとめ
宅配便で送れるもの/送れないものの判断基準
宅配便で荷物を送る際、航空輸送が絡む場合の基本的な判断基準はこうだ。
リチウムイオン電池・バッテリー単体は宅配便での航空輸送が原則NGで、機内持ち込みが必要になる。リチウムイオン電池を内蔵した機器は、種類によっては宅配便でNGになる場合がある。判断に迷ったら、発送前に運送会社に問い合わせるのが確実だ。
飛行機に機内持ち込みする場合のルール
機内にリチウムイオン電池を持ち込む場合は、容量(Wh:ワットアワー)に制限がある。一般的には100Wh以下であれば制限なく持ち込めるとされ、100〜160Whの場合は航空会社の承認が必要、160Wh超は原則持ち込み不可とされている。
今回のマキタのバッテリー(BL0715)は7.2V・1.5Ah・11Whなので、容量的には問題なく機内持ち込みができた。Whの計算式は「電圧(V)×容量(Ah)」で求められるため、手持ちのバッテリーのラベルを確認してみてほしい。
100Wh以下の予備バッテリー(カメラ用・電動工具用など)
デジタルカメラやビデオカメラの予備バッテリーのように「電子機器から取り外した予備の電池」は、2026年4月24日からの新ルールによる個数制限の対象外で、100Wh以下であれば個数制限なし。
今回のマキタのバッテリー(BL0715)は11Whなので、この区分に該当し、個数制限なしで機内持ち込み可能です。
100Wh超〜160Wh以下の予備バッテリー
モバイルバッテリーと予備電池を併用する場合、合計個数が制限される。モバイルバッテリーを2個持ち込む場合は同容量帯の予備電池は持ち込み不可、1個の場合は予備電池も1個まで、モバイルバッテリーを持たない場合は予備電池2個まで。
160Wh超持ち込み・預け入れともに不可。
仕事で機材を現地に送る場合の現実的な対処法
今回の経験から、仕事で充電式機材を地方に送る場合は以下の対応が現実的だと感じた。
バッテリー類はすべて機内持ち込み手荷物にまとめる。電動工具・充電式ライト類は宅配便ではなく、陸路便(翌日配達の地域なら陸送便を指定する)か、自分で持参することを検討する。どうしても宅配便で送る必要がある場合は、発送前に運送会社に機器名を伝えて確認を取る。
同じ失敗をしないためのチェックリスト
宅配便に入れる前に確認すべきこと
- 送る荷物の中にリチウムイオン電池・充電式バッテリーが含まれていないか確認する
- 充電式の機器(ヘッドライト・電動工具・カメラ・スピーカーなど)が入っていないか確認する
- 送り先が航空輸送エリア(沖縄・北海道・離島など)かどうか確認する
- 少しでも不安な機器がある場合は、発送前に運送会社に電話で確認する
- バッテリー類は機内持ち込み手荷物として自分で運ぶ計画を立てる
イベント・現場仕事で機材を運ぶ人へ特に伝えたいこと
イベントや現場仕事では、ヘッドライト・電動ドライバー・充電式工具類をまとめてスーツケースに詰めて送るというケースが多いと思う。自分もまさにそのパターンで今回の失敗をした。
「毎回これで送ってきたから大丈夫」という経験則は通じないこともある。運送会社の規定は改定されることもあるし、検査のタイミングや担当者によって結果が変わることもある。確実なのは事前確認だけだ。
ちなみに、沖縄や宮古島等で映像制作をする場合のVマウントバッテリーや業務用カメラ電源、照明用電源など、大容量のバッテリーがレンタルできるサービスも出てきています。
まとめ
今回の件でいちばん驚いたのは、「バッテリーを抜いた本体でもNGになる」という事実だった。常識的に考えれば電池がなければ問題ないと思いたくなるが、航空輸送のルールはそれほど単純ではない。
リチウムイオン電池に関するルールは「電池そのもの」だけでなく「電池で動く機器」にまで及んでいる。宅配便で荷物を送ること自体は日常的な行為だが、充電式機器が含まれる場合は一手間かけて確認することが必要だ。
荷物が届かない・遅れるというトラブルは、仕事の現場では致命的になりかねない。同じ失敗をする人が一人でも減れば、この記事を書いた意味がある。