今年の9月13日にiPhone 15が発表されたのも記憶に新しいのですが、みなさんはAppleのイベント動画内でiPhone 15の発表時に「Qi2」について言及していたのを覚えていますか?

iPhone 15を含めて、早ければ2023年後半以降に予想されるQi2対応製品の「Qi2」の規格について深く掘り下げてわかりやすく、解説・説明していきたいと思います。

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Qi2ワイヤレス充電規格の紹介
あまりスマートフォンに詳しくない方やずっとiPhoneを利用してる方だと「Qi」をそもそも何て読むのか分からない方もいるかもしれません。このようなロゴがついた充電器を見たことがありませんか?

正解は「Qi(チィー)」と読みます。
ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)による策定
普段みなさんのご家庭でも目にすることが多くなった「Qi」はワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)により開発されたオープンで協調的なワイヤレス充電規格であり、家電市場で最も広く採用されている規格の一つとなっています。
ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)は2008年12月17日設立で、事務局はアメリカ合衆国ニュージャージー州のIEEE-ISTOに置かれています。
2008年の設立時のWPCメンバーは以下の8社となっており、現在はパナソニックホールディングスの子会社であるeneloopで代表的な日本の電機メーカーである三洋電機も含まれていました。
- ConvenientPower
- Fulton Innovation
- Logitech
- National Semiconductor
- Royal Philips Electronics
- 三洋電機
- Shenzhen Sang Fei Consumer Communications
- Texas Instruments
2022年6月時点では351社が会員となっています。
Qi2の特徴
新しいQi2規格については磁気アタッチメント、より高速な充電、効率の向上、そして利便性の向上を約束していますと公表しているため、主に以下のような特徴があります。
- 業界の統一: Qi2は、業界を一つのグローバル標準の下に統一することを目指しているため、ワイヤレス充電の新たな国際標準規格として設計されており、幅広いデバイスに対応可能。
- ワイヤレス充電の強化: Qi2には、AppleがWPCに提供したMagSafe技術に基づくMagnetic Power Profile(MPP)と、磁石を含まないがQi2に準拠する既存のワイヤレス充電Extended Power Profile(EPP)の強化が含まれます。
- 市場の拡大: Qi2プロファイルの登場により、これまでワイヤレスで充電できなかった新しいタイプのアクセサリーの市場が拡大すると予想されています。
QiとQi2の給電速度の違い
QiとQi2それぞれの規格での給電速度の比較表です。
規格 | Qi | Qi2 |
---|---|---|
給電速度 | 5~15W | 15W |
現在のQiワイヤレス充電は最大15Wとなっていますが、これはiPhoneが採用しているMagSafeの最大出力と同じです。
Qi2の現在のワイヤレス充電速度は15Wであり、USB Power Deliveryベースの有線充電速度よりも遅いですが、WPCは初期仕様の確認後、より高速の充電バージョンが次の開発段階にあることを言及しています。
もしかすると数年先には60Wなどのワイヤレス充電が可能になっている未来もあるかもしれません。
Qi2とその開発についての定義
元々ワイヤレス給電については各社で独自開発のものが多く、異企業間での機器の相互利用が出来ない状態が続いていたことが問題となり、その問題を解消するためにWPCが立ち上げられました。
そのためQi2は、ワイヤレス充電規格「Qi」の最新バージョンで、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium、WPC)によって開発されました。この規格は、AppleのMagSafe技術を基にしており、ワイヤレス充電の効率と速度を向上させることを目的としています。
Qi2には二つの主要なプロファイルが含まれています:「Magnetic Power Profile(MPP)」と「Extended Power Profile(EPP)」です。
- Magnetic Power Profile(MPP): 磁石を使用してデバイスを充電器に固定し、充電の伝達を最適化することで高効率な充電を実現。
- Extended Power Profile(EPP): 磁石を使用しないが、Qi2の基準に準拠しているため、より多様なデバイスとの互換性を持たせる。
Qi2は、従来のQi規格に比べてより高速で効率的な充電を提供し、スマートフォンを始めとするさまざまなデバイスでの使用が期待されています。
WPCが主体となってどのメーカーでもこのワイヤレス充電が利用できるような規格にして解消しようとしてできたのが、Qiの最新規格となる「Qi2(チィーツー)」です。
AppleのMagSafeとQi2の大きな違い
ワイヤレス給電の仕様ですが、AppleのMagSafeとQiの違いを比較してみました。
Qi2の大きな特徴として挙げられるのが、AppleのMagSafeを基にした「Magnetic Power Profile」(MPP)が取り入れられてることです。
- 独自性: MagSafeはApple製品専用の技術であり、特にiPhoneシリーズに最適化されています。
- 磁石による固定: iPhoneをMagSafe充電器に置くと磁石がピタッとくっつき、充電コイルの位置合わせを最適化します。
- 限定的な互換性: MagSafe対応のiPhoneは通常のQi充電器でも充電可能ですが、磁石による貼り付け機能はMagSafe対応機器でのみ利用可能です。
- 業界標準: Qi2は、ワイヤレス充電の新たな国際標準規格として設計されており、幅広いデバイスに対応可能です。
- MagSafe技術の統合: Qi2では、AppleのMagSafeを基にした「Magnetic Power Profile」(MPP)が取り入れられていますが、磁石を使わない「Extended Power Profile」(EPP)も存在します。
- 広範なデバイス互換性: Qi2は、異なるメーカーのデバイス間での互換性を高めることを目指しており、iPhone以外のスマートフォンや他のデバイスにも適用可能です。
AppleがQi2対応のワイヤレス充電器を出してくるかは不明ですが、Appleの互換製品などを作っているWPC会員である351社のいずれかは少なくとも今年中にiPhone+iPhone以外のスマートフォンや他のデバイスにも適用可能なQi2対応の充電器を出すと予想されています。
Qi2に規格が統一されることで受けられるユーザ側の恩恵
まず考えられる大きなメリットとしては、ワイヤレス充電器が全て1つにまとめてしまうことができる点です。
スマートフォンを複数台(会社用・個人用)持っている方を例に挙げて説明していきたいと思います。
個人用のスマホがiPhone 15の場合
先ほど紹介した通り、iPhone 15の場合はMagSafeという規格が存在しています。そのためiPhone 15を持っているユーザーであれば置くだけで充電ができることを求めた場合、ワイヤレス充電器としてMagSafe対応の充電器を購入する必要が出てきます。

会社用のスマホがAndroidの場合
もう一方で会社のスマホがAndroidだった場合(参考例: Google Pixel 8)には、Qi認証済みデバイスが充電可能となるワイヤレス充電器を用意する必要が出てきます。

しかし、Qi2になることによって、それぞれのスマホでワイヤレス充電機を用意する必要があったものが、Qi2対応のワイヤレス充電器に対応しているデバイスであれば、iPhoneでもAndroidでも一つのワイヤレス充電器を使うことができるようになるのです。

WPCが公開している文書によると「iPhone 15」シリーズは、WPCが最初にQi2の認定機種としてリリースされています。
iPhone以外にも最初の認証済みデバイスとして紹介されているのがBelkin、Mophie、Anker、Airchargeなどのパワートランスミッターとされているので、これらのメーカーからも近くQi2認証済みデバイスが充電可能となるワイヤレス充電器が発表される可能性もあります。
2023年後半以降に、Qi2の認定機種のスマートフォンや充電器などが多くリリースされるとされているため、今後スマートフォンを複数台持っている人にとってはワイヤレス充電がより便利になることとなります。
Qi2の持続可能性と環境への影響

Appleなどは2030年までにすべてのApple製品をカーボンニュートラルにすることを目指しているため、こういったワイヤレス充電器などを今後自社で製造・販売をしなくなる可能性が出てきます。
またAppleからみると、電子廃棄物の削減効果も見込まれる環境へのメリットの他、製造コストの削減にもつながるため、製造者側から見てもメリットとなるのです。
消費者からの視点でみると、一つのワイヤレス充電で他の機種も充電できるため、規格が違うワイヤレス充電器を購入しなくても良くなるため、消費者コストの削減にもつながるのでお財布にも優しいということに繋がってきます。
NORI
スマートフォン以外でのQi2の応用
現在AppleではAirPods (第 2 世代) と AirPods (第 1 世代) のワイヤレス充電ケースのほか、AirPods Pro MagSafe 充電ケースもQi 規格のワイヤレス充電器に対応しています。
Apple以外のイヤホンでもケースがワイヤレス充電に対応しているものも増えてきています。
そのため今後はスマートフォン以外の様々なデバイスでQi2が採用される可能性も出てきます。
日常技術でのQi2の有用性に関する個人的見解
個人的にイヤホン以外にも2024年には登場する可能性が高いだろうと思っているものとしてあるのが、ワイヤレスマイクや、電動歯ブラシなどです。
今までスマートフォンやスイヤホンをワイヤレスで充電していたものが、他の家電などへも広がっていく可能性が十分にあります。
フィリップスの電動歯ブラシなどは置くだけで充電ができるようなものもあり、イヤホンがすでに対応しているのであれば、ボックスでまとめて充電できる小型のワイヤレスマイクなどもそのうちボックスに入れずとも置くだけで充電ができるようになってきそうな感じはあります。
Qi2に対応していれば、そのワイヤレス充電器の上でなんでも充電できてしまうのはとても便利だと思います。
希望を言えば、特に一眼レフカメラなどのバッテリーが全部Qi2でワイヤレス充電できるようになったらどんだけ便利になるんだろうと思っています。
NORI
まとめ:Qi2によるワイヤレス充電の未来
ガジェット好きの目線だと、デスクの上に置くようなデスクマットがQi2対応になったらとても便利になるだろうなというワクワク感しかありません。

普段使うようなものをデスクのマットの上に乗せて置くだけで勝手に充電されるようになると考えると、とても便利だと思いませんか?
家の壁の一部がQi2対応の充電壁になっていたら、スマホをくっつけるだけで充電できたり、掃除機を立て掛けて置くだけでワイヤレス充電してくれる未来もありそうな気がしています。
今後出てくるQi2対応製品には引き続き注目していきたいと思います!