本サイト内のコンテンツはNORILOGが独自に制作しています。メーカー等から商品提供を受けることもありますが、その場合は記事内に明記しております。コンテンツの内容や評価に関するランキングの決定には一切関与していません。メーカー等の指示による表示部分にはPRを表記します。記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。詳しくはサイト運営ポリシーをご覧ください。
山でドローンを飛ばすとき、その場所が国有林だと「入林届」という書類が要ります。この手続きが、思っていたよりずっと面倒でした。
ドローンを購入して機体登録を済んだ方であれば、登山をしながら絶景を撮影したいって気持ちが大きくなると思いますが、ドローン撮影(趣味)での国有林に入る場合、「入林届」という書類が必要なのをご存知でしょうか?
これが私自身もとても面倒だと思っていた手続きなのですが、この問題を解決できるサービスを作りました。
面倒の中身を一つずつ潰していったら、サービスの形になったので紹介します。MOUNTAIN FLIGHTS(マウンテンフライツ)といいます。
そもそも入林届って何がそんなに大変なのか
「書類を1枚書くだけでしょう」と思われるかもしれません。私もそう思っていました。実際に調べてみると、書き始める前の段階でつまずきます。
1. どこに出せばいいのかが分からない
国有林は全国7つの森林管理局が管理していて、その下に122の森林管理署・支署・事務所があります。「この山はどこの署の管轄か」を、一般の人が調べる方法が基本的にありません。
しかも県境の山は、登る側によって提出先が変わります。両側にまたがるなら、両方に出す必要があります。
2. 提出先のメールアドレスが、署の代表アドレスとは限らない
これは実際に調べていて驚いた点です。関東森林管理局の吾妻・中越・東京神奈川の各署は、入林届専用のメールアドレスが別にあります。署のページに載っている代表アドレスに送っても、それは提出先ではありません。
九州の北薩署にいたっては、提出先メールアドレスが一覧表のPDFの中にしか書かれていません。署の個別ページを見ても出てきません。
3. 様式が局ごとに違う
ドローン用の入林届の様式は、7つの局でそれぞれ別のファイルです。沖縄署だけは独自の様式を使っていて、提出期限も他と違います。
4. 提出期限も局ごとに違う
「飛行予定日の5営業日前まで」の局もあれば、10業務日前の局もあります。沖縄署は20業務日前です。土日祝を数えて逆算する必要があります。
5. 公式の一覧表が、最新とは限らない
これは作りながら踏みました。九州森林管理局の提出先一覧PDFは2025年7月に作られたままで、屋久島署の電話番号が署の個別ページ(2026年8月更新)と食い違っていました。中部局でも木曽・岐阜の番号が変わっていました。
つまり「公式の一覧を見れば正しい」とも言い切れません。一覧表と個別ページの両方を見て、更新の新しいほうを採る必要があります。役所関係がアナログなのは重々承知の上ですが、今の時代できるだけデジタルに寄せていく必要があると考えています。
6. そして、入林届を出しても飛んでいいわけではない
ここが一番の落とし穴だと思います。
入林届は「国有林に立ち入ること」についての林野庁側の手続きです。ドローンを飛ばしてよいかどうかは、まったく別の法令が決めます。航空法、小型無人機等飛行禁止法、自然公園法、鳥獣保護管理法、電波法……。届出を出したことで、これらが免除されるわけではありません。
それで、何ができるサービスなのか
やることは3つです。提出はご自身で行います。このサービスが行うのは、管轄の判定と書類の作成までです。届出の受付・審査は各森林管理署が行います。
ステップ1:山を選ぶと、提出先が出る
山名を入れるか、地図をクリックして飛行地点を指定します。日本百名山を含む143座に対応していて、選ぶと管轄の森林管理署が出ます。県境の山は「どちら側で飛ばしますか」と聞かれ、複数の署にまたがる場合はそれも分かります。
山のリストに無い場所でも、地図をクリックすれば市町村から管轄署の候補を調べられます。
ステップ2:フォームに入れると、公式様式に転記される
氏名・住所・電話番号・機体の情報などを入力すると、その署に対応した公式のWord様式に自動で入ります。入力しながら、右側で書類のプレビューが変わっていくのが見えます。
アカウントを作って住所や機体を保存しておくと、次回からはボタン1つで呼び出せます。
また指定した飛行経路図もそのまま入林届に反映されるようになっています。
ステップ3:宛先・件名・本文まで揃う
WordとPDFで書類を出力できます。それだけでなく、提出先のメールアドレス・件名・本文のテンプレートまで用意されるので、コピペしてご自身のメールから送れば提出が終わります。
個人的に一番こだわった部分
「入林届の外側」を必ず見せる
書類ができたあとの画面に、「入林届のほかに必要な確認」という項目を置いています。ここには12件の法令が入っています。
ただ12件を並べると誰も読まないので、3つに分けました。
- いつでも効くもの(5件)— 飛ばす場所に関係なく毎回かかります。航空法の飛行禁止空域・飛行の方法・飛行日誌、電波法、撮影とプライバシー
- 場所によって効くもの(7件)— 小型無人機等飛行禁止法、自然公園法、鳥獣保護管理法、河川法、自治体の条例、文化財保護法、土地の所有者の定め。畳んであって、開くと読めます
- この山について — その山だけの注意。実際に届出をした人からの報告が元になっています
「該当しません」とは書かない
これは設計として決めていることです。このサービスは、その場所が規制にかかるかどうかを判定しません。「確認先を示すだけ」に徹しています。
理由があります。たとえば小型無人機等飛行禁止法は、2026年7月14日の改正で、防衛関係施設などの周囲がおおむね300mから1,000mに拡大されました。山にも関係します。山頂のレーダーサイト(分屯基地)や、山ろくの演習場が対象施設に指定されているからです。100グラム未満の機体も対象で、航空法の対象外だからという理由では外れません。
このエリアを実際に測ってみたところ、富士山の山頂は演習場のエリアの外(約3.8km)なのに、御殿場口の登山口側はエリアの中でした。山頂だけを見て「大丈夫」と言うと、登山口で違反することになります。
だから「近くにあります、地理院地図で確認してください」までしか言いません。間違った安心を与えるくらいなら、何も言わないほうがましだという判断です。
地図に経路を描くと、その線を実際に照合する
ただし、利用者が地図に描いた飛行経路については照合します。国土地理院が配信している飛行禁止エリアのデータと突き合わせて、入っていたときだけ知らせます。点と点の間を約50mおきに見ているので、線が横切るケースも拾います。
入っていなくても「入っていません」とは出しません。調べているのは線の上だけで、実際に飛ばす範囲は線より広いからです。
データの出どころを、山ごとに区別している
143座それぞれに、情報の確からしさのラベルを付けています。
- 実際の届出実績で確認済み … 69座(実際にその山で届出をした方からの報告)
- 公式ページの記載で確認済み … 14座
- 市町村から推定 … 60座(提出前に必ず管轄署へ確認)
推定のものを「確認済み」と同じ顔で出さない、というのは最初から決めていました。
ご利用料金
管轄の判定と提出先の確認は無料です。書類を出力するところからシステム利用料がかかります。
- フリー … 0円(管轄の判定と提出先の確認)
- 都度 … 980円
- 5件パック … 3,980円
- 年額プラン … 9,800円
- ビジネス … 4,980円
すべて税込です。年額プランがあるのは、個人の空撮が季節に強く偏るからです。夏山と紅葉期に集中して、積雪期はほぼゼロ。月額だと11月に解約して6月に入り直すのが合理的な行動になってしまうので、その形にしませんでした。
報酬を得て行う飛行・法人利用・受託業務でのご利用は、内容に合わせてご案内します。
いまどこまでできているか(正直なところ)
ここは盛らずに書きます。
アプリはまだβ版です。画面の上部に「画面プロトタイプです」という帯が常時出ていて、検索エンジンにも載せていません。
理由は上に書いたデータの内訳です。143座のうち60座は市町村照合による推定で、山と管轄署の対応付けの裏取りが終わっていません。ここが埋まるまでは、実際に提出する前に必ず管轄署へ電話で確認していただく必要があります。というより、どの局も「提出前に管轄署へ事前連絡すること」を求めていますので、それは正式版になっても変わりません。
署の連絡先データのほうは、全122署所の電話番号と郵便番号を公式一覧と突き合わせて直したところです。毎月1日に自動でチェックが走って、署の統廃合や様式の改定、法令の改正を見張る仕組みも動き始めています。
触ってみたい・こういう機能が欲しい・ここが分かりにくい、といったご意見をいただけると助かります。特に「実際にこの山で届出をした」という報告は、そのままデータの精度になります。
